「糖尿病患者における食直前薬の服薬実態調査」
日程:2009年6月19日
場所:十勝プラザ
研究者:(株)まつもと薬局
大野伴和、永﨑裕子、実松成利、福原章訓、島崎正年、田本敬一、松本健春
目的
●糖尿病薬の中でも食直前で服用する薬は正しい時間で服用しなければ、その治療効果が無くなるばかりでなく副作用発現の危険性も高くなる。
●食直前薬の実際の服薬状況を把握し、その内容を踏まえ今後の服薬指導業務へ活かすために、今回アンケート調査を実施した。
方法
調査期間:平成21年5月21日~6月4日
調査対象:α-グルコシダーゼ阻害薬・速効型インスリン分泌促進薬を処方された患者
調査方法:処方箋内容を確認し、該当する薬剤が処方されている患者にアンケート用紙を配布し回答を依頼した。
回答枚数:90枚
アンケートの調査項目(アンケート用紙)
結果
Q1、食前、食後、食直前、食直後の薬を(実際に)いつ飲んでいますか?
自分の薬に当てはまる「飲み方」がない場合には、自分が正しいと思うものに㋹(チェック)を入れて下さい。
Q2、『食直前』の糖尿病のお薬を飲んでいる方にお聞きします。どれを飲んでいますか?
飲んでいる薬全てに○(マル)をつけて下さい
Q3、どれぐらいの期間飲んでいますか?(※わかる範囲で結構です。)
Q4、食直前で服用しなければならない理由を知っていますか?もしわかれば、その理由も簡単にお書き下さい。
Q5、お薬を服用中に副作用を経験したことがありますか?以下にあてはまるものがあれば㋹(チェック)して下さい。
Q6、お薬を飲み忘れる事はありますか?
Q7、お薬はきちんと食直前に飲めていますか?
Q8、Q6で「ある」またはQ7で「飲めていない」と答えた方にお聞きします。その頻度をお答下さい
」
Q9、Q6で「ある」またはQ7で「飲めていない」と答えた方にお聞きします。その理由をお聞かせ下さい
Q10、Q6でお薬を飲み忘れる事が「ある」と答えた方にお聞きします。お薬を飲み忘れた場合には、どのように対処していますか?
【服用年数と飲み忘れの関係】
【副作用の有無と飲み忘れの関係】
【食直前で服用する理由の把握と飲み忘れの関係】
まとめ
- 食直前の服用時間は守られているが、約半数以上が薬を飲み忘れることがあると回答しており、コンプライアンスの低さがうかがえた。
- 飲み忘れとの相関は認められなかったが、食直前で服用する理由を正確に回答できた方はほとんどいなかった。
- 飲み忘れと副作用の有無との関連性が示唆された。
- 飲み忘れの理由としては、「外出、外食、旅行時に忘れる」が最も多かった。
- 飲み忘れの対処法としては、「食事の最中に服用する」と回答した方が最も多かったが「次の食事の前まで服用しない」と回答した方も同程度いた。
今後の取り組み
副作用、特におなかの張りに対する対策
・服用継続により2~3週間で改善するとの説明を十分にする。
・腹部症状を摂取カロリーの目安にしてもらう(食べ過ぎの是生)
・ヨーグルト等の乳酸菌食品の摂取を推奨する。
・肥満を改善する
外出、外食、旅行時に忘れる事に対する対策
・仕事場に数錠置いておく。
・出かける時に必ずもっていくもの(サイフ等)に数錠入れておく。
・携帯に便利な製剤(ボグリボースODフィルム等)の普及
他、服用理由、飲み忘れの対処法などを含めた薬の説明文書を作成し、投薬時にその内容について説明し、薬と一緒に配布するなど、服用指導の改善方法について今後検討していきたい