「湿布剤を後発品へ変更する際の、患者の選定基準の調査」
日程:2014年5月24日・25日
場所:札幌コンベンションセンター
研究者 :(株)まつもと薬局
大野伴和、藤原舞子、遠藤泰明、松本健春
はじめに
使用頻度が高い湿布剤などでは、後発医薬品が10銘柄以上発売されることも多々見受けられる。薬局側では、添加剤、材質、貼り心地など様々な要因を加味しながら後発品の選定を行っていくが、患者側ではどのような点が重視されているのか明確ではない。今回、患者の後発医薬品の選定基準について、実際に後発品への切り替えを実施しながら調査したので報告する。
方法
ロキソニンテープ®50mg、100mgが処方された患者を対象にして調査を実施した。切り替える後発医薬品としては、外観上の特徴が異なる2社の製品を用いて行った。切り替えに際しては、ロキソニンテープ®が処方された患者に対して、後発品2種の外観と中身の写真を印刷しラミネートした紙をみせ、いずれかの後発医薬品を選択してもらった。
使用した製剤写真(先発品)
使用した製剤写真(後発品)
結果
対象患者:25名(男性12名、女性13名)
年齢:66.8±11.8歳
使用薬剤:ロキソニンテープ
後発品 ロキソプロフェンNaテープ「ユートク」®
ロキソプロフェンNaテープ「科研」®
50mg 4名、100mg 21名
後発医薬品への選定に際しては、製薬企業の知名度、外観上の類似などいくつかの特徴がみられた。後発医薬品への変更を拒否された患者も比較的多くみられたが、その理由としては、現在使用しているものが貼りなれているためとの意見が多かった。
後発品への変更
今回、後発品へ変更した人と変更しなかった人の割合は同程度であった。
性別での比較
今回の調査では、女性の方が男性よりも後発品への変更に積極的な傾向がみられた。
医療費負担割合での比較
負担額での比較では、両者にそれほどの差はみられなかった。
使用枚数での比較
使用枚数の比較では、両者にそれほど差はみられなかった。
使用歴の有無での比較
ロキソニンテープを過去に使用したことがあるかないかの比較では、ほとんど差はみられなかった。
他の処方薬での比較
他の処方薬も後発品を使用している患者では、テープ剤も後発品へ変更する傾向がみられた。
銘柄別変更理由
銘柄別では、科研製薬よりも祐徳薬品の後発品へ変更する方が多かった。
科研製薬の後発品への変更理由は特になかった。
祐徳薬品の後発品への変更理由では、「製薬会社の知名度」「製品の色合い」などが重視されていた。
後発品へ変更しない理由
先発品へ戻すことになった人
後発品へ変更後、先発品へ戻した方は2名いた。
どちらも健康被害が出たことによる変更などではなかった。
まとめ
- 後発品へ変更した方は半数程度にとどまったが、負担額の差額がほとんどないことも理由として考えられた。
- 後発品へ変更した方は女性で多くみられ、ほかの処方薬も後発品へ変更している方が多かった。
- 今回の湿布剤の後発品の選定では、製品の材質等より、製薬企業の知名度や外観上の特徴の類似などが重視されていたため、今後の後発品選定の参考にしていきたい。