「保険薬局における自己採血によるHbA1c・脂質測定に関する調査」
日程:2017年5月18日・20日
場所:名古屋国際会議場
研究者 :浅野逸郎、川村玲加、藤原舞子、大野伴和、松本健春
背景・目的
2014年3月31日、臨床検査技師等に関する法律に基づく告示が改正され翌日に適用された。
これによって、これまで法的位置付けが不明確だった薬局などで自己採取した検体による生化学検査が法的に認められることになった。
保険薬局での生活習慣病の早期発見・予防が期待されている。
方法(調査項目)
まつもと薬局において、平成26年7月より来局者を対象にコバスb101(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いて、HbA1c、脂質(総コレステロール、トリグリセライド、HDLコレステロール)をそれぞれ1回1000円にて測定を行っている。
そこで平成28年10月までにHbA1c、脂質の測定を行った患者について後ろ向きに調査し、測定した患者の人数、性別、処方せんの有無、測定したHbA1c、脂質の値、治療の有無について検討を行った。
結果(HbA1c)
患者数 :57名、79件(脂質も測定:11名)
年齢 :32-90歳(中央値:65歳)
性別 :男性18名、女性39名
治療の有無:有り 13名、無し 44名
処方箋の有無
診療科別
Ⅲ-②結果(脂質)
患者数 :42名、46件(HbA1cも測定:11名)
年齢 :34-90歳(中央値66歳)
性別 :男性13名、女性29名
治療の有無:有り 3名、 無し 39名
処方箋の有無
診療科別
Ⅳ 患者さんの声
・検診で指摘された。
・夫婦で検査した。
・病院が2月毎なので、その間の測定に利用したい。
・測定したことなかった。
・治療を始めたので、その効果見たい。
・もともと甘党なので一度確認したかった。
・体重が3kg落ちたので、効果見たかった。
・薬もらう、ついでに測定もしたい。
・思ったより痛くなかった。
・妊娠糖尿病と言われたことがある。
まとめ
- 保険薬局でのHbA1c、脂質測定の測定は、処方せんの有無、治療の有無などに関わらず需要があった。
- 保険薬局での生化学検査を継続的に利用する需要もあった。
- 脂質測定の約半数が基準値を上回っており、保険薬局が1次 予防として機能する事が期待される。
- 糖尿病連携手帳などの共通のツールの利用も心掛けたい。
- 他施設との結果の集積も今後の課題である。
結語
検体測定室としての保険薬局は、多種多様な生活習慣病の予防する可能性がある。
保険薬局での健康相談、栄養相談をさらなる継続性のあるものにしていきたい。