糖尿病の薬物療法と切っても切れない低血糖。
不安に感じるあまり、治療を中断したり食べ過ぎたりしては意味がありません。
糖尿病で薬物療法を受けている場合には、どのような状況で低血糖になるのか、低血糖になったらどのように対処するかをよく理解し、いつでも・どこででも・速やかに対処できるようにしておく必要があります。
低血糖とは
低血糖を起こす疾患・原因には様々なものがあります。
最も多いのが糖尿病の薬物療法に伴うもので、インスリンが過剰な状態になった時になります。
糖尿病でインスリン治療や経口血糖降下剤投与を受けている人が、食事を抜いたり激しい運動をしたりすると、薬が効きすぎて血糖が下がり過ぎます。
また薬の量を間違えてたくさん飲んだり、インスリンを多く打ち過ぎたりした時も低血糖になります。
低血糖の原因・誘因
- 不適切な食事摂取 食事を抜いたり食事の量が少なすぎれば、低血糖を起こします。
下痢・嘔吐で食事が十分摂取・吸収されない時も低血糖の誘因となります。 - 運動量が多過ぎた 普段より激しい運動をした時や労働量が多過ぎた時にも低血糖が起こりやすくなります。
※ 薬( 経口血糖降降下剤.インスリン等 )の原因
- 薬の種類や量を、間違えた場合
- スルフォニル尿素剤(アマリール、グリメピリド、オイグルコン、パミルコン、グリミクロン等) インスリン分泌を促す薬は、指示通り服用している場合でも、低血糖を起こす可能性があります。(食事・運動の影響も含めて)
- 不適切なインスリン注射 こんだく製剤をよく混ぜない、注射部位をもむなど、不適切な注射手技も低血糖の一つの誘因となります。
≪こんだく製剤 → ○○R、○○ミックス、N注≫
低血糖の症状
正常では、血糖値は70mg/dl以上に維持されています。
血糖値が下がり過ぎると...
68mg/dl(平均値)
グルカゴン、エピネフリンなどの拮抗ホルモンの分泌が始まる。
拮抗ホルモンは血糖値を上げる働きをしますが、糖尿病だと拮抗ホルモンの分泌能力が低下しています。
53mg/dl(平均値)
自律神経症状(低血糖に対するサイレン)
発汗、手足のふるえ、からだが熱く感じる、動悸、不安感、吐きけ、空腹感、霧視
48mg/dl(平均値)
中枢神経症状(脳細胞がギブアップ寸前)
集中力の低下、取り乱す、脱力、眠気、めまい、疲労感、ろれつが回らない、物が二重に見える、空腹感、霧視
意識障害~低血糖昏睡
無自覚性低血糖に注意!!
過去1~2カ月以内に低血糖を経験していたり、合併症の神経障害があると、
何の低血糖症状もなく、いきなり意識障害を起こします
低血糖を、自分で対処できるケース
- もうすぐ食事だからそれまでがまんしようなどと考え対処を遅らせると、より危険な状態に至る可能性があります。
- 糖分をとって、一時的に多少高血糖になったとしても、低血糖を放置するよりはずっと安全です。
低血糖を、自分で対処できないケース
- 意識障害を起こした時には、家族や周囲の協力が必要になります。
- 緊急時に備えて、発作の際に周りの人に助けてもらえるように、ブドウ糖や砂糖、処置・連絡先を記した、お薬手帳や糖尿病健康手帳を、いつも携帯しましょう。
砂糖・ブドウ糖を歯茎と唇の間にすり込む
(水に溶かしたものは、誤嚥のおそれがあるので避ける)
病院に搬送する → グルカゴン注射
(救急処置がとれなかったり、救急処置でも回復しない時)